Facebookご覧の方はお気づきかも知れませんが、最近ちょいちょい東南アジア、というかミャンマーに行ってます。
実はとある案件でミャンマーのビジネスに関わっておりまして。
僕が関わるということはゲーム領域のビジネスではあるんですが、その辺の詳細はまだオープンになっていないのでさておき、ミャンマーにおけるゲーム市場を様々見聞きしてきたのでちょっと紹介したいと思います。(あくまでオープンな情報のまとめにはなっちゃいますが)
恐らく、現時点の日本のゲーム業界の人で特にミャンマーに凄い興味を持ってる人は正直居ないだろうと思いつつ、また同時に現時点で僕以外にミャンマーのゲーム市場について発信する人も誰も居ないであろうという妙な使命感(?)から書きます笑
(TGS当日にミャンマーのポストというのもなんかシュールですが、アテンション取れるかなと思ってこの日を待ってましたw)
■基本情報
・人口
51,419,420人
・GDP
564億ドル
・一人当りGDP
1097ドル
・経済成長率
6.9%
・・・と、これだといまいちピンと来ないと思うので、日本及び他東南アジア諸国との比較↓
ついでにミャンマーの人口構成比↓
出典:
見てみると、人口としてはそこそこ多いものの、一人当たりGDPは東南アジアの中においても低く、また若年層が多く今後の成長が見込まれるという事がわかります。
ミャンマーが「ラストフロンティア」とよく言われるゆえんです。
■ミャンマーのゲーム市場ってどんな感じ?
・スマートフォン普及率
2018年で約9割のスマートフォン普及率と言われています。
回線は都市部では普通に4Gが通っており、通信インフラはかなり整っています。
僕の肌感覚ですが、上海やホーチミンなどの他アジア地域より通信環境は良いと感じました。
逆に固定回線は全く整っておらず、一般家庭はほぼ普及してません。
新興国でよくあるインフラ飛越現象ですね。
・スマホのシェア
OSはほぼほぼAndroid。
一応、iPhoneも存在しているが、所有しているのは一部の富裕層のみ。
(まとまった統計データがないので詳細なシェアは不明)
端末はOPPOやVIVOなどの中国系スマホが普及しており、SAMUSUNGは高級品のイメージです。
・なんと!Google Playが課金に対応してない
驚くことに、Google Playは存在しているのですが、Google Playが課金に対応していません。
なので、普通にストアから課金するという行為がそもそも出来ない状況です。
・しかも!Googleがビルマ語に対応していない
ミャンマーはビルマ語なのですが、そもそもGoogleが現状ではビルマ語に対応していません。
ビルマ語はZawgyiというフォントが使われているんですが、これがUnicodeに対応していないためです。
つまり、ミャンマー人はGoogleというサービスをほぼ使わない(接続はできるが検索ができない)のです。
一方で、FacebookはこのZawgyiというフォントに対応しているため、ミャンマー社会では"インターネット=Facebook"というような認識です。
企業も、独自のWEBサイトなどは作らずFacebookページで済ませるし、ミャンマー人は何か調べるときはFacebookで調べる、というような状況なのです。
・なんでGoogle Playで課金ができないのか
歴史的な背景からミャンマー人は銀行を信用しておらず、それゆえクレジットカードの普及率も低いようです。
加えてGoogleから見た時の市場規模の小ささということもあるでしょう。
Googleが独自でクレカ以外の決済手段を用意するところまでは現状では至っていなようです。
・スマホゲーム市場規模
実はよくわかりませんw
上記の通りAndroidのシェアがほぼほぼなのにGoogle Playで課金できないので。
・はたして市場はあるのか?
では、ミャンマー人は全くスマホゲームで課金しないかというそんなことはありません。
大きく分けて、
①ミャンマー以外の国のアカウント使ってVPNでつなぎ無理やり課金する
②Google Play以外の決済手段を使って課金する
という方法があります。①は書いた通りの意味で、ミャンマーにお金が落ちてる訳ではありませんが、少なくとも需要はあるということです。
また②に関しては、あくまでゲーム側が他の決済手段に対応しているという前提ですが、Googleを経由しない課金というものが存在しています。
これも大きく2パターンあって、
②-1 キャリアのウォレットにプリペイドカードでチャージして課金するパターン。トップアップと言われます。
②-2 CodaPayという東南アジア圏で普及している決済手段で課金するパターン。
の二つがあります。
ちなみにミャンマーに限らず、クレカの普及率が低いためにストアの課金手段が一般庶民にとって使い勝手が悪いためARPUが下がる現象は他の東南アジアでもあるようです。
いかに決済の手段を整えるかという点が、新興国でのマーケティングで重要なのだと思います。
・その他ストアはあるの?
現地キャリアがストアを提供しているケースがあります。
例えばゲームロフトのゲームはテレノールという現地キャリアのサービスから提供されていたりします。
・どんなゲームが流行ってるのか?
一番はやっているゲームはMobile Legend。
中国のゲームですが、ミャンマーに限らず他東南アジア圏でも流行ってますね。
■ミャンマーでマーケティングするには
前述の通り、ビルマ語がGoogleに対応しておらず人々がFacebookを中心に利用している、つまりFacebook外に有力なメディアなどなく、したがってADNWなども存在しない状況です。
オンラインでのペイドプロモーションはFacebook AD一択ということに。
そして、FBの広告に入札している競合もそんなに存在しないはずなので、そんなに予算かけずにブロード配信が出来ちゃう状況になると思います。(実際に配信した訳じゃないので推測ですが)
+やるとしたら、インフルエンサーマーケティングということになりますが、これもあくまでFB上の施策になると思います。
ちなみにTVもあんまり見られていないので、マス広告も難しく、ほぼ予算がFB上で消化される感じでしょう。
あとはピアツーピアでのファイル受け渡しが広く行われているので、イベントなどをうまく絡めれば立派な獲得手段になるかも知れません。
■で、結局ミャンマーのスマホゲーム市場ってどうなの?
結論を言ってしまうと、ことゲーム市場という点ではまだまだこれからで、大手ゲームメーカーがミャンマー一国で収益を立てるという意味ではまだ難しいとは思います。
ただし、日本の市場が飽和し、中国はゲームコンテンツの規制だったり難しい市場ではあり、市場の成長性と競合の少なさという意味で東南アジア全体では今後の可能性がある地域だと思います。
つまり、一国で考えるのではなく全体で捉えつつ決済や集客など個別のチューニングを行っていけば、あるいは収益をアドオンできる可能性もあるかも知れません。
しかし、上記は「大手ゲームメーカー」というただし書きがつきます。
中小や個人レベルであれば、食べていけるだけの可能性は現状でも十分秘めているんじゃないか、と思ったりしてます。
■その他情報
空港から市街地に向けてタクシーに乗った時に思ったのが「ラストフロンティア!」でした。
タイとかベトナムとか行くとなんだかんだすでに発展していてエキゾチック感が不足してるんですが、その点ミャンマーは完全に別世界です。
料理ではミャンマー北部のシャン族という人々の料理「シャン料理」という料理が旨いです。
あと野犬がマジ多い!
とまぁ、こんな感じですが、読んでくれた人のうち1人でもミャンマーに興味をもってもらえたら幸いですw