2018年10月22日月曜日

コトダマンのマーケティングを分析してみた


今年リリースしたスマホゲームタイトルのうち、これはマーケティングのお手本だ!
と言えるのはSEGAの『共闘ことばRPG コトダマン』ではないでしょうか。

非IPでかつ、美麗系のビジュアルでも、声優フックでもないこのタイトルがリリースから3カ月で800万DL突破の快挙。
しかも、外資系タイトルのような広告費の大量投下なども行っている痕跡がない。
むしろ昨今の平均的なタイトルと比べても広告予算がリーズナブルに済んでいそうな雰囲気がします。

大変すばらしいです。

世間で話題になっているのは勿論ですが、僕の周りでも「コトダマンすげぇ・・・」みたいな声が良く聞かれ、業界内での注目度もかなり高かったことが記憶に新しいです。

既に色々なところでインタビューや分析記事など出ていますが、今回はもうちょい中の人向けに施策の整理と分析をしてみたいと思います。

※例によってオープンになっている情報から推測できることに対して分析です。一応念のため。


DL数推移


まず、コトダマンが実際どれくらい凄いのかDL数の観点から見てみましょう。
※一応、情報ソースもリンク付けときます

2018/04/16 本リリース
2018/04/19 100万DL突破(SEGA公式より)
2018/04/23 200万DL突破(ファミ通記事より)
2018/04/26 300万DL突破(4Gamer記事より)
2018/05/11 400万DL突破(4Gamer記事より)
2018/05/16 500万DL突破(ファミ通記事より)
2018/06/01 600万DL突破(ファミ通記事より)
2018/06/22 700万DL突破(4Gamer記事より)
2018/07/20 800万DL突破(ファミ通記事より)

リリースから95日、約3カ月で800万DL突破してます。凄まじいですね。

ちなみにですが、モンストでも800万DL突破は256日かかっています。
モンストの場合、最初3カ月はiOSのみのリリースなのでその期間をオープンβと捉えてAndroidローンチからカウントしたとしても177日で800万DL突破。
いずれにしてもコトダマンの方が断然速いです。


プレマーケ概要おさらい


各所で言われているようにコトダマンがこれほどまでにブレイクした理由は、ユーザとの関係値を高度に築き推奨者にし、バイラルを生み出したことだと思いますが、重要な要因はリリース前、開発段階という時間軸でこれらを行ってきたことだと言えます。

リリースまでの間どういうことをやってきたのか、ざっくり時系列で整理するとこんな感じ↓

2017/11/21
公式サイトオープン
事前登録開始
開発会議開始(Twitter)、開発協力者募集
コラボ発表
2018/01/22
CBT参加者募集
2018/02/06
vTuber「のじゃロリ」とコラボ
2018/02/08
CBT開始
公式生放送開始
2018/02/15
公式生放送、グラドル倉持由香、声優山下まみ出演
CBT限定イベント開始
2018/02/16
公式生放送最終日
2018/02/20
CBT終了
2018/03/06
CBTアンケート結果、FBレポート公開
2018/04/16
本リリース


概要をおさらいしたところで、次にこれらのポイントを分析してみたいと思います。


リリース前の接触頻度


Youtuberは視聴者との接触回数を維持するかが極めて重要といいます。
ブログで稼いでいるブロガーなんかも投稿回数がとにかく重要と言います。

ある種のコンテンツはフリークエンシーが非常に重要で、ソーシャルゲームもその一つと言えます。

ゲームの場合、リリース後はゲームに接触させれば良い(マルチチャンネルで離脱させないような努力は必要だけど)けど、リリース前は接触させるゲームがまだ世に出てない訳で、何らかのネタをもってして接触を続ける必要がある訳です。

コトダマンはその点でもよく手数が出ていたのは勿論ですが、「コラボ」や「CBT(クローズドβテスト)」などユーザが自分事化しやすいネタをうまくプロット出来ていたなと思いました。


開発会議


公式サイトオープンと同時に、リリースまでの公式Twitterアカウントを「開発会議」と銘打ち、キャラクターのイラストの投票などを実施。
Twitterのフォロワーは開発協力者としてホームページやゲーム内にユーザのTwitterアカウント名が掲載されるようにしています。(なお、リリース後の公式Twitterアカウントは「運営会議」として運営。)

ユーザに決めさせる、スタッフロールに載せるなど、ユーザを運営側に巻き込み、当事者とさせることに成功しています。

ちなみにCBT参加者の募集もここで行っておりCBTの参加者もリーズナブルに確保していると思われます。(非IPでCBTの人数集めるってとっても大変!)


リリース前からのコラボ施策


コトダマンのプレマーケの特徴として、リリース前から複数本のコラボがプロットされていた点があります。

『ウルトラマンシリーズ』
『新日本プロレスリング』
『セガオールスター』

セガオールスターは自社コラボなので当然ですが、他2つもちょっと失礼な言い方になるかもですが、そんなにお金がかからなそうな感じがします。

コラボをやる時にさすがにもう「コラボする版権のファンを大量に獲得する!」みたいなものをゴールに設定している人は居ないと思います(あったらいいなくらいには思っても)。
だとすると、コラボって基本的には既存ユーザの活性化が目的なのであって、その目的が達する自タイトルとの食い合わせの良いIPなら必ずしも集英社とかの大型IP(高価!)とかじゃなくても良い訳です。

この辺のIPの選定の仕方と、事前登録〇万人突破のネタとしてコラボキャラの"コトダマン"化という配置で、リリース前からユーザの活性化を(比較的リーズナブルに)図っている手法が秀逸です。

一個、特にこれは!と感じたのがvTuber「のじゃロリ」とのコラボ。
vTuberという旬で、前例がなく、「キズナアイ」など大御所ではなくコスパ良く(と思われる)、自タイトルとの食い合わせの良いものを持ってくる絶妙さが秀逸だと思いました。


CBTはプレマーケに最適


割とCBTはバグとりやゲームバランスの調整など、ブラッシュアップに充ててしまうケースが多い中、ユーザを楽しませることに振っていることが印象的でした。

例えば、CBT限定イベントを行ったりとしっかり「運営」を行ってます。
テスト以上に、ユーザとのコミュニケーションの場として、バイラルの手段として最初から計画していたことが伺えます。

ちなみに僕自身、ゲーム会社に居た時にCBTやりましたし、今もCBTの提案を行うことがあります。
その時にプロモーションへの活用を推奨するのですが、よくある意見として「不完全な物を広げてしまってディスブランディングになるかも」というものです。
確かにその懸念はわかります。
もしCBTをプロモに組み込むならαテストなのか、CBTを2回やり2回目をプロモに活用するのか、質の担保は必要になると思います。

あと、CBT開始とともに公式生放送開始し、9日間連続で放送したのもうまいなぁ~と思いました。
CBT参加者とマルチプレイをやったり、コアユーザの熱量が拡大していくような工夫をしていますね。


非IP&低プロモ予算


割と尖がった施策が可能だった背景に、非IPという点があると思います。
IPものだと版元の監修が入るので尖がったことはやりずらいし、確認の工数もかかるので手数が減りがちです。
想像ですが、コトダマンでは尖がった施策を手数多く実施し、ユーザの反応を見ながら軌道修正を繰り返してたんじゃないでしょうか。
こういう動きはオリジナルIPじゃないとなかなかできないですね。

また広告予算についてファミ通の記事に、

――ユーザーとの信頼関係をTwitterを中心にうまく作れたんですね。スタートダッシュも決まって、リリースから2週間くらい無料アプリ1位をずっと堅持していましたね。テクニック系の広告も実施してないとか?
中村 ゼロです。オーガニックユーザーだけであそこまでいってます。

とあります。
本当かどうかは個人ブログでは確認しようがないので、それをそのまま鵜呑みにしますが、少なくともお金を大量に使った感じはなさそうです。

潤沢に広告予算があると、やれTVCMだ大型コラボという話になりがちで、そんなに汗をかかない工夫のない施策になりがちです。
(お金を使ってるので、怖くて前例のあるものになりがち、という側面もある)

そして、現代はいわゆるコマーシャルチックなものに対するユーザ離れが顕著です。

お金を使わないからこその創意工夫と、自由さ。
これも成功のポイントとしてありそうな気がします。


まとめ


あくまで公開情報の中から僕の角度から見て分析したものなので、中には的外れなものもあるかも知れませんが、今後のタイトルのマーケティングの参考になればと思い書きあげました。

まったく同じことをやって再現性があるかどうかはわかりません。
が、中にある哲学みたいなものを咀嚼してうまく施策をプロットし、実践できればあるいは成功できるかも!?

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